2009年3月27日金曜日

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 作者:崋山宏光へメールする!

<< 海ぬ藍さ 空ぬ蒼さ 童心ぬ 夢ぬ美らさ 千代ぬ南風 吹き抜きてぃ 島ぬ 美らさよ 肝ぬ 美らさよ いちまでぃん 万人ぬ 宝やしが 対訳:「海の藍さも 空の蒼さも 幼心の夢の美しさも 南風が永遠に吹いているように 島は美しくあり 島の人たちの心も美しくあって いつまでも全ての人々の宝です。(うみぬあおさ そらぬあおさ わらびぐくるぬ ゆめぬちゅらさ ちよぬはえ ふきぬきてぃん しまぬ ちゅらさよ ちむぬ ちゅらさよ いちまでぃん うまんちゅうぬ たからやしが)一文節の最後の語彙の最後尾を韻音をさげて昔の沖縄言葉の詩を読むようにお読みください。作者より」>>
  
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「輝やけ わたがし(とら・ひな・あやバージョン)by:jijix
 作者:崋山宏光へメールする!
 蒼く煌めくエメラルドブルーのレインボーのように綺麗な海。
 澄み渡る青い空にふわふわと浮かぶ真っ白な積乱雲。水平線に一本の線を引いて空と海を切り離さないとまるで海の中に雲があるように錯角してしまいそうだ。
 風がそよぐのをやめて、鳥がさえずりを忘れて、打ち寄せる波が珊瑚の白い砂を洗う音で時が流れゆくことに気づく。なんて美しい景色だろう。静かな午後の浜辺で瑛虎は息を呑むほどに美しい海と空に感動していた。そんな優雅なひと時を瑛虎は幼い心に焼き付けるように眺めてひとり見とれて「ああ、なんてふわふわとおいしそうな綿菓子のような雲なんだろう。」「あんな大きな綿菓子!たべたいな~・・・」とかやっぱり子供のようなことを考えてほくそえんでいた。とっその時。
 突然雷が鳴り響くような衝撃的な叫び声が聞こえた。
 「おにいちゃーん!」聞き覚えのある二重のソプラノの甲高い声に、瑛虎は景色に酔いしれて最高の気分の時に邪魔者が現れたかと悟った。そしてすぐさま叫び声の主達が背後から白い珊瑚砂の渚を白い珊瑚の砂を蹴散らしながら白い珊瑚の砂の飛沫を上げて駆け寄ってくる気配を感じて仕方なさそうに振り向いた。体を捻って首だけを後ろに向けた瑛虎は満面の笑みをたたえて懸命に自分のほうへ走り来る姫那乃と彩那の姿を見た。可愛いい二人の妹たちはつぶらな大きな瞳をキラキラと輝かせながら手を振っている。その瞳の輝きが今見ている海の漣のように煌めいていて同じぐらい綺麗かなと思った。感動の場面を遮られて戸惑ったがこの場面でも妹たちへの愛想の方が大切に思えた。姫那乃と彩那の微笑みにつられて瑛虎も歯を見せて笑った。
 後ろ側から瑛虎の左側に回りこんだ姫那乃は息を切らせながら「何を見てるの!」と兄に聞いた。続いて遅れて追いついて来た彩那も息を弾ませていてすこし間をおいて息を整えながら同じようにそして彩那らしい言い回しで「何見てるの~!」とやさしい兄に聞いた。
 3人はとても仲良しでいつもなんでも一緒に分かち合う。今日もこの綺麗なトロピカル・ビーチに遊びに来ていて楽しいひと時にいつものようにはしゃいで楽しんでいた。二人の妹たちは瑛虎おにいちゃんが大好きだ。だから少しの間も瑛虎から離れない。瑛虎はそんな妹たちの光であり輝きであり道しるべである。だから妹たちは兄に従いついてゆけばいつもどこへ行っても安心だと思っていた。
 瑛虎は本当に頼りになる"おにいちゃん"だ。瑛虎もそんな姫那乃と彩那が大好きだ。
 大好きな妹たちの質問に一瞬なんて答えようかと考えて「海を見てるんだよ。」なんて平凡に言ってしまってはなんだかもったいないような気がした。折角こんなに綺麗な海にきているんだからもう少しましな答えが無いかなと思いながら少し口篭った。口篭りながら姫那乃と彩那の笑顔の真っ白な歯をみてひらめいた。真っ白な雲がふわふわとおいしそうな綿菓子のように見えているんだった。瑛虎は「綿菓子を見ていたんだよ」と答えた。

 そんな風に答える瑛虎に姫那乃は大きな目を一段と大きく見開いて「え~ぇつ!わたがしっ!」と驚いた。彩那も同じように「え~わたが~し~ぃっ!」と驚きを見せた。驚きながらも二人の妹たちはおいしそうな答えによだれが出そうになり「ゴクッ!」とつばを飲み込んだ。綿菓子と聞いただけでおいしそうをすぐに反応してしまう。そんな妹たちを見て瑛虎は楽しくなった。姫那乃と彩那はわたがしを食べたいな~と思った。いったいどこに綿菓子があるのかなと不思議だった。姫那乃が瑛虎に「わたがしどこにあるの~?」と聞いた。彩那もすぐ「わたがしどこ?」と言った。二人は不思議そうに瑛虎の顔を覗き込む。見つめられて瑛虎は姫那乃と彩那があの真っ白な大きな雲をわたがしだと気づくだろうか?と思い「どこにあるか当ててごらん。」とちょっぴり得意げに言った。そんな兄の問題に更に一段と目を見開いた姫那乃は「どこかな~?」と言いながらあたりを見回している。同じように彩那が「わたがぁ~しぃ~?」と周りをキョロキョロと見回す。少しの間綿菓子探しに夢中だ。
でもふたりはなかなかおいしそうな"わたがし"が見つけられない。


 そんなふたりのようすに瑛虎はヒントをだしてあげようと考えた。最初は簡単なやつだ。「とっても大きいんだぜ。」と言った。姫那乃と彩那はおにいちゃんが言ったヒントに首をかしげながら「おおきいわたがし~?」とまたあちらこちらを見渡した。彩那は細くしかめた瞼が”大きい”と言う言葉で見開いてしまった。二人はキョロキョロするばかりで青い空の大きな綿菓子には気づかない。瑛虎は腕組みをして少し威張りぎみだ。「しょうがない。もうひとつだけヒントをあげよう・・・。」と眉をまげて瑛虎を見つめる妹たちに言った。「ふ~ん、何がいいかな」と腕組みのまま天を見上げた。「う~ん、雲?」と思ったがこれははっきりと答えであった。「いや、まずいな~・・・。これは答えだ。」独り言を言った。よく気がついた。あぶなく答えをヒントにするところだった。やばい!とりあえず「雲」と言う言葉はのどの奥へ押し込めた。「雲」を押し込めて次の言葉をさぐった。「海?」これも近すぎ。「空?」もっとバレバレだし。と悩んだ。口を真一文字にしたりへの字にしたりと顔面が忙しそうだ。その顔に姫那乃と彩那が吹き出して笑う。瑛虎が首を左にかしいで何かよいヒントはないかなぁと考えていると姫那乃と彩那が首を右に傾けて瑛虎を覗き込む。瑛虎が右に顔をかしぐと姫那乃と彩那は左にかしぐ。なんだか姫那乃と彩那は"わたがし探し"をあきらめておにいちゃんのヒントを待っていた。「う~ん」と唸って天を仰いだ瑛虎は「そうだっ!」と言って腕組みを解いて姫那乃と彩那に向き直った。心配そうに眺めているふたりに「じゃ~ん、それではヒント発表!」と勢いよく言った。姫那乃と彩那は一斉にパチパチと拍手をした。もったいぶって間を空けた。姫那乃と彩那は早く言ってほしくてじれていた。「風!で~す。」と瑛虎が言った。姫那乃と彩那が声をそろえて「か・ぜ?」と聞き返す。「そうだよ。風だよ、風。もうこれ以上はヒントなしだかんなっ!」と偉そうに言う。そう言いながらなんていいヒントだろうと得意になって、ついには空にふわふわと浮かぶ大きなわたがしを見やってしまった。姫那乃と彩那はそんな瑛虎が見つめる視線の先の行方を追った。すると青い海と空の中に真っ白な夏の雲がふわふわと積み重なっているのが目に飛び込んだ。姫那乃と彩那は同時にお互いを見た。姫那乃が大きな目を輝かせて彩那を見つめる。彩那は目じりを下げて目を細めて笑顔になった。ふたりともふわふわとおいしそうな"わたがし"を見つけてとってもうれしそうな笑顔が煌めいた。「あった~!」と姫那乃が彩那に言った。同時に彩那が「あったねぇ~!」と姫那乃にうなずくように顔を右に少し傾けた。そうしてふたりは得意そうに綿菓子を見続けている瑛虎と一緒になっておいしそうな"わたがし"の夏の雲を見つめた。夏の積乱雲は強い陽射しを浴びて真っ白に輝いて瑛虎の言うとおりに本当においしそうな"わたがし"そのものに見えた。
 姫那乃と彩那が一斉に「おいしそ~・・・!」と言った。二人の妹の食べたそうにした声を聞いた瑛虎は大きく口を開いて歯を見せて笑った。そして二人の愛する妹が自分と同じように夏の雲が"わたがし"に見えたことに満足して心の中で「やったぜ!」と叫んで万歳した。幼い3人の兄妹は大きな"わたがし"をみんなで仲良く分け合っていつまでも食べ続けた。
 3人が満腹感を味わった頃、海面を南風が吹き抜けた。南風はコバルトブルーの虹のようだった海面をキラキラとまぶしく輝く漣に変えながら珊瑚の白い渚に立って空を見つめる兄妹の方へ吹いていった。琉球の暖かな南風は3人の仲良しさんを優しく包んだ。そして思いやり溢れる兄のほほを優しくなでて、兄の側に立つふたりの愛いらしい妹達の柔らかな髪を慈しみ愛でるように吹き抜けた。
 瑛虎のヒントの「風」と"わたがし"のつながりが謎のままであったが、とりあえずは結果オーライ!な瑛虎と姫那乃と彩那の思い出の夏の一幕は夢のように過ぎた。


 作者:崋山宏光へメールする!

この幼き3人の至福の輝きに満ちた沖縄での思い出は彼らの心にいつまでもいつまでもその煌めきを絶やすことなく人生の大切な糧となり道標となって彼らに勇気を与え励ましを送り続けてくれます。琉球での暖かな陽射し、眩いゆい九重の漣、飽くことなく眺めていた満天の茜の夕景、ギラギラの太陽の下で憩いの緑の森に蝉の声を求めて駆け抜けた古えの「王府の城跡(グシク)」、弾むエイサーのリズムに酔いしれた日々、沖縄でしかめぐり合えない数々のイベント、沖縄でしか味わうことの無い様々なこと、そして何よりも心から彼らを愛し育くんでれたこと。沖縄で彼らを大きく育み、優しさを分け与えてくれたのは沖縄の優しい人々でした。そして多くの教育者の皆様の沖縄の暑さをそのままに厚き心として体言してくれた愛、さらには思いやり。それは沖縄の南風のようにいつも暖かく彼らを包みこみ時に厳しく彼らを諌めて糺すことの大切なことさえもしっかりと彼らに教え、道を説き、人を深く愛することを教えてくれました。こんなにもたくさんのことをその大切な人生の過程で彼らの心に刻み付けられたことは彼らにとってかけがえのない一生の宝物です。きっとかれらは琉球のことそしてこの琉球にあるももの全て、そこに営みを続ける琉球の全ての皆様のことをいつまでも大切に心に刻み、素敵な沖縄を自分たちの故郷として忘れることはありません。
 琉球よ、ありがとう・・・。この島の美らさ(ちゅらさ=美しさ)が永栄と続き、島ん人(しまんちゅ=島の人)の肝美らさ(ちむちゅらさ=美しい心)が久遠に輝き続けることを信じています。・・・大感謝!大感激!



  
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